Appleは、なぜあそこまで強烈なファンを生むことができているのか
こんにちは、イチです。
ちょっと今日は、有名な「ゴールデンサークル理論」の話をします。
難しい話に見えるかもしれませんが、極めてシンプルな話。
そしてこれを読んでもらえれば、あなたも「Apple流のファンの作り方」を実践していくことができるでしょう。
まずは用語の解説について。
プロダクトアウトとマーケットインについて
プロダクトアウト:企業先導で、企業の企画部などが「人が欲しがりそうな商品」を先に作り、それを市場に出すビジネス。昭和のものが不足していた時代、テレビ・エアコン・冷蔵庫などはこの形で作られて日本の高度経済成長に寄与した。
マーケットイン:市場の需要をまず最初にリサーチし、市場(マーケット)からの需要を吸い上げて「顧客に求められている商品を作る」というビジネス。
日本が豊かになり、市場が飽和、成熟して、企業先導ではものが売れなくなり、よりニッチで細分化された需要に答えるためにこの方法がとられるようになった。
こうやって見ると、一見マーケットインのほうが、強く新しく見えると思います。
ただ、近年はその「どちらかが正解」みたいな二元論が時代遅れとなり、プロダクトアウトとの融合を行うべきという流れになっています。
最もわかりやすい例を挙げると「マーケットインが正義と言われてる中で、当時大ヒットしたiPhoneは『プロダクトアウト』」ということです。
古く見えるプロダクトアウトのメリット
世間がマーケットインに染まっていた頃に出たAppleのiPhoneは、真逆のプロダクトアウトだったという話をしました。
需要をリサーチしてから商品を開発するマーケットインには明確な弱点があります。
それは、開発のアイディアの源泉になるお客様は「あくまでも素人」ということです。
つまり、専門家による「世界を変えるような新商品」は作れず、大ヒットは生まれにくいのです。
さて、Appleはなぜ、あそこまで強烈なファンを生むことができているのでしょう。
同じ大企業でも、SONYやサムスンには、Appleのような熱狂的なファンはいません。
そのからくりの秘密は、Appleには「一貫した理念」があるからです。
これが現在の企業経営、ひいては僕らのビジネスにおいても、ものすごく大切です。
機能的価値・感情的価値
ちょっと抽象的な話になりますが、世の中には2つの価値があります。
機能的価値と、感情的価値です。
人間の原則として、この2つのどちらか、あるいは両方が満たされた時、人はものを欲しくなります。
そして、このふたつには明らかな序列があります。
1.感情的価値は
「たのしい・うれしい・おもしろい・せつない・感動・こわい」
2.機能的価値は
「便利・簡単・安い・高い・お得・早い」
さてここで問題ですが、人間にとって、この2つはどちらがより強い欲求でしょう?
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たぶん僕の発信を見てるあなたは分かると思いますが、2よりも圧倒的に強いのが1です。
大阪の「はやい、やすい、うまい」
これは「機能・機能・感情」で訴求している
やはり最後が感情。なぜなら一番強いから。
そして世の中の商品やWEBサイトは、1をあまり語らず2ばかりを訴求していると思いませんか?
簡単や便利であることは2。機能的に優れているのはどんなにハイテクノロジーでも2。
つまり、優れた2に1を載せた時、そのWEBサイトは売れます。
キャッチコピーにおける機能と感情の重み
キャッチコピーの話で例えますが、コピーで重要なのは強い欲求を喚起することです。
質問:次のどちらかを選べ。
1.幸せになれる
2.お金がもらえる
多分多くの人が1と答えるでしょう。これが「感情的価値」の訴求です。
お金は機能的価値です。機能的価値のトップ。
機能だけを訴求しても、感情にはかなわない。
大金を持ったまま孤独死するより、貧しくても家族に囲まれて死にたい人は多い。
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次、ダイ○ン掃除機のチラシを作るとして、コピーは下の2つ。
「お部屋がきれい、きもちいい」
「吸引力が落ちない掃除機」
あなたはどう配置しますか?
多分、上のコピーがでかいですよね?
「お部屋がきれい、きもちいい」←感情的価値
「吸引力が落ちない掃除機」←機能的価値
感情的価値はニア・イコールでベネフィット=理想の未来です。機能的価値はメリット。
「吸引力が落ちない掃除機」というコピーだけでダイ○ンを売るより、「お部屋がきれい、きもちいい」という感情的価値のコピーを添えたほうがより売れると思いませんか
極端に言うと、SONYやサムスンは「機能的価値」のみで商品を開発しているが、Appleにはその上に「感情的価値」が備わっているのです。
これをあなたのビジネスに生かすにはどうしたらいいか、です。
Appleのファンマーケティングをあなたも実践する
Appleが熱狂的な信者を作っている理由は、「機能的価値」の上に「感情的価値」を乗せてるから。
では、僕らWEBデザイナーがAppleと同じ戦略で、ファンを作ることができるでしょうか。
結論から言いますが、できます。
WEBサイト・システム・技術はすべて機能的価値ですが、ここに「感情的価値」を乗せるには具体的にどうしたらいいのでしょう。
WHAT:「何の商品を」
HOW:「どうやって届けるか」
巷のビジネスはみんなこの2つで差別化しています。
他社が出していない商品、他社よりも優れたサービスを模索している。
または、同じ商品を「どうやって届けるか」で差別化している。
昼間だけじゃない夜のサービスをつくるとか。買いに来てもらうじゃなくて配達するとかね。
この2つ以外に、ひとつ大事な要素が抜けていることに気づきますでしょうか。
それは、
WHY:「なぜ」
です。
ゴールデンサークル理論
引用:https://www.unprinted.design/articles/golden-circle/
「なぜそのビジネスをしているのか」
これを深堀りすることにより、それは「理念」となり、はじめて「感情的価値」に訴求することができるのです。
Appleは故スティーブ・ジョブズが、iPhoneの発表の際「我々は電話を再発明した」と言いました。
それはWHY(なぜ)の答えです。
彼の理念は、
「Think Simple」
マニュアルがなくても分かる、デザインもシンプルで、ボタンの数は最小限。
iPhoneのラインナップも最低限。その世界観や性能、デザインで世界を圧倒しました。
その「Think Simple」は、アップル製品の全てに一貫しているのが分かるでしょう。
その一貫した哲学・テーマが、「感情的価値」となって、僕らの中に色濃く印象付けられているんです。
一貫したテーマを持つということは、ミクロには「下剋上」で教えた「専門分野を持つ」ということに繋がります。
「○○専門でやってる」。それも「客に寄り添う」という立派な感情的価値。
あなたも「WHY(なぜ)」を一度真剣に考えてみてください。
それをお客様に伝え、共有・共感すれば、お客様は「同志」としてあなたのファンとなります。
僕は「WEBデザイン」専門で「つくる楽しみ」を訴求し、感情的価値としています。
サイモン・シネック氏の動画は必見
この話が面白かったら、ゴールデンサークル理論を提唱した「サイモン・シネック氏」の動画もぜひ一度見てみてください。日本語翻訳が付いた動画がこちらのページから見られます。
英語ですが、とにかくプレゼンがうますぎて驚愕します。僕は何度もこの動画を見て復習しています。