WEBデザイナーのための公式LINE運用コンサルマスターブック

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こんにちは、イチです。お買い上げいただきありがとうございます。

コンサルメンバーさんが美容室の公式LINE運用を任された際に作った、公式LINE運用コンサルマニュアルになります。

このノウハウを知れば、美容室以外も、我々フリーランスのクライアントになりうる中小規模の起業、店舗、サロン、飲食店などの公式LINE運用コンサルが取れるようになるでしょう。

僕のLINEでの発信を見ていた方は想像が付く部分もあるかもしれませんが、今回は「店舗や事業者のためのLINE運用」としてより具体的/実践的なノウハウに落とし込んでいきますので、より理解を深めていただければと思います。

なお、今回は「ステップLINE」などではなく、定期配信のLINE運用ノウハウです。

  1. ステップLINEと普通の公式LINEの違い
    1. 原則的に公式LINEだけあればいい
  2. 1.LINEで発信するべきこと
    1. USP
    2. ・季節のキャンペーン (期間を区切って割引/プレゼント/ノベルティ/クーポン)
      1. お決まりのパターンを毎年繰り返す
      2. 対象商品を限定
      3. おまけ/ノベルティ/付加価値をつける
      4. 定番キャンペーンのルーティン+不定期キャンペーン
  3. 発展編(余裕がある場合の発信アイディア)
    1. 毎回画像バナーをつける
    2. ・新商品や新設備、新アメニティの情報
      1. どうやってネタを出すのか
    3. 各種お役立ち情報/Tips
  4. 2.リッチメニュー
  5. 3.配信頻度
  6. 4.単純接触効果と双方向コミュニケーション
      1. 単純接触効果
      2. 双方向コミュニケーション
      3. アンケートを取る
      4. 同じ双方向メディアであるSNSとの違い
      5. リストマーケティングの強み
      6. あえてメルマガを使う逆張り戦略
  7. 5.属人性:機能性
    1. 一般生徒には嫌われている怖い先生
    2. キャラクターを意識する
    3. 話しかけない美容室
  8. 6.プライベート情報の出し方
  9. 公式LINE運用の営業の仕方
    1. 「続ける」ことの難しさと意義
    2. LINE運用をクライアントに営業する
    3. LINE運用のパッケージ化の例
      1. 【イニシャルコスト(初期費用)】
      2. 【ランニングコスト(月額費用)】
    4. 色々な販売パターン
      1. 保守とセットの営業
  10. ここまででもこれ一本で食べていける事業にできる
    1. Lステップ・エルメ・プロラインなどのサードパーティツールはどうか
    2. はがきDMの代わりとしてLINE運用を訴求する
      1. 具体事例を多く書き、「コスト削減」を謳う
      2. 休眠客のあぶり出し
      3. 不要なお客様には送らない
  11. リストマーケティングの時代による変遷
      1. ライフ・タイム・バリュー
    1. 真のファンを作れ
    2. 登録数10は、ただの数ではない
  12. Q&A

ステップLINEと普通の公式LINEの違い

ステップLINEと、普通の公式LINEの違いとその定義について、明確に解説しておきましょう。

【ステップLINE】
ターゲットも一つ、商品も一つのサービスを売るための導線。全何回というスタートとゴールがある。ステップメールと原則的には同じ。サイトであれば、役割はLPと同じ。

【公式LINE】
お客様とのエンゲージメントを大切に育てるメインLINEアカウント。
スタートもゴールもない。定期的に配信し続けることで、お客様に「買う理由」や「きっかけ」を与えて集客を狙う。

原則的に公式LINEだけあればいい

ステップLINEはスキルも知識も手間もかかる上級者向けのLINE運用施策になるので、今回は詳しく解説しません。

ただ、LINE運用コンサルをするのにあたっては、あなたも知識としては持っておいたほうがいいので、軽く概念だけお伝えしておきましょう。

公式LINEとステップLINEを並行して動かす場合は、位置づけとしては、「公式LINE」でしっかりとお客様の心をつかみ、そこから必要に応じて枝葉のように「ステップLINE」に誘導していく感じです。

公式LINEが幹であり、ここを常に動かす。

そして、特別に売りたいキャンペーン、ローンチしたい商品などがあったら、そこから「ステップLINE」という枝葉を出して、希望者だけをそちらに誘導します。

その時の公式LINEの配信内容はこんな感じ。

「今度、こういう商品を出すので、興味がある人はよかったらこちらのLINEに登録してくださいね」

こうやって「公式LINE」の中で、その商品に興味がある人だけを誘導できる。

LINE運用やリストマーケティングに慣れていない素人ほど、「LINE登録数」ばかりを重視しますが、商品に興味がない人にその案内を送っても邪魔なだけです。

せっかく興味を持って登録してくれた人でも、自分に興味がない情報を押し付けられたら、高い確率でブロックや離脱につながる。

なので、「興味がある人だけスクリーニング(ふるいがけ)して別経路に誘導」というのは大切。

ステップLINEについては、要望があればまた機会を改めて解説する。

1.LINEで発信するべきこと

今回は、ターゲットが「本業に専念したい、時間のない事業者」なので、WEBデザインのクライアントによりニーズが高いと思われる「定期的な普通のLINE配信」の運用方法を解説します。

発信するべきことは下記のような情報です。

今回は「美容室」を例にとって、一つずつ解説しましょう。

USP

ユニーク・セリング・プロポジション。

僕の発信を読んでる人はそろそろ覚えましたでしょうか。「ライバルにはないその美容室だけの強み」でしたね。

例えば、

  • 最先端の機械が入っている。
  • シャンプーがそこでしか仕入れられない。
  • 独自のアロマを焚いている。
  • カリスマ美容師がいる、など。

これはLINEの配信の都度、切り口を変えて何度でも訴求しましょう。

ただ、専門的なことを言っても興味は取れないので、あくまでも「一般人に向けた書き方」にするべきです。

最先端の機械についても、難しい機能や仕様面のことを書いても、素人にはナンノコッチャです。

それよりも、「今までできなかったこんなことが、その機械を使えばできる」とか、お客様から見てお客様の得になること、お客様のメリットになることだけを書くようにしましょう。

今まで1時間かかっていた作業が30分で済む、とかね。

・季節のキャンペーン (期間を区切って割引/プレゼント/ノベルティ/クーポン)

これが、公式LINEのメインコンテンツ、年間の定期配信の軸となります。

マックやスタバの限定メニューをイメージしてください。「今行かないと食べられない」ということで、みんな足を運びますよね。それと同じ訴求をするのです。

つまり、クーポンなどお客様の得になる情報を、季節ごとに、期間を区切って発信していきます。

これを「限定性の訴求」と言います。

夏であれば「サマーフェスティバル」などで、冷製シャンプーとか企画する。

または、アイスティー/アイスコーヒーサービス、ヘアオイルの試供品交換チケット、ヘッドスパ初回のみ半額、期間限定10%OFFクーポンなど。

公式LINEは標準機能でクーポンを発行することもできるので、そういうものを作るのもいい。

クーポンの作り方はこちらのページを参照。

お決まりのパターンを毎年繰り返す

季節の限定キャンペーンは、年に最低4回程度、定期的に企画をして行い、それを発信の軸にすることができます。

別に4回じゃなくていいです。理由が付けられるなら毎月やってもいい。

例えば

  • 1月:初売り/お年玉キャンペーン
  • 2月:バレンタインキャンペーン
  • 3月:ホワイトデー/新生活キャンペーン
  • 4月:スプリング/お花見キャンペーン
  • 5月:GW/母の日キャンペーン
  • 6月:ブライダル/父の日キャンペーン
  • 7月:サマーセール/夏休みキャンペーン
  • 8月:お盆/納涼キャンペーン
  • 9月:お月見/秋の大感謝キャンペーン
  • 10月:ハロウィンキャンペーン
  • 11月:クリスマスキャンペーン
  • 12月:年末/歳末売りつくしキャンペーン

こんな感じ。

年間の行事カレンダーを見ながら、それぞれの祝日、祭事、行事ごとに恒例キャンペーンを作ってしまえば、月に1回の配信内容は何も考えずに決まる。

毎年それをぐるぐる回すだけで、LINEの運用はできてしまいます。

対象商品を限定

ただ、毎月10%オフクーポンを配ってると、「ずっとやってるじゃん」となって、「期間の限定性」の効果が薄れてしまいます。

なので、その場合は「対象商品を限定する」のがいいでしょう。

美容室なら、月によって「ショートカットの人は安い」とか、「ロングの人は安い」「パーマが安い」「カラーが安い」「エクステが安い」「ヘッドスパが安い」などですね。

「そのうちやりたいな」と思ってる客に「え、今なら安いじゃん!今しよう!」と思ってもらうために期間を絞るわけです。

おまけ/ノベルティ/付加価値をつける

また、割引だけじゃなくて、何かおまけを付けるとか、増量するとか、「プラスアルファの付加価値」を付けるのもいいですね。

例えば、「お~いお茶」のペットボトルに、人気アニメキャラのフィギアや缶バッチなどがついてるときがありますよね。それと同じ発想です。

あれも「その時しか手に入らない」という限定性を付けることで、「別にお茶なら何でもいいんだけど、おまけが付くなら綾鷹でも伊右衛門でもなく、今回はお~いお茶にしよう」と思ってもらえる。

定番キャンペーンのルーティン+不定期キャンペーン

「次に何を配信すればいいかがわからない」というのはLINE運用あるあるなので、年間スケジュールで恒例キャンペーンを設定しておけば、発信するネタに困ることはなくなりますよね。

そこに不定期のアイディアキャンペーンを行う。

例えば、行事基準以外にも、映画館のシニアチケット、50歳以上ペア割、カップル割などを参考にして、年齢や属性などで「対象を限定したキャンペーン」を作るのもいい。

男性だけ、学生だけ、主婦だけとかね。

あと、「ネクタイを付けてきたら」とか「赤い服を着てきたら」、「ハットを被ってきた人限定」とかの遊び心系も面白い。

街に出て、映画館、水族館、観光スポットなどの割引を観察すれば、マーケティングのキャンペーン施策のアイディアはたくさん見つかります。どんどん取り入れていきましょう。

発展編(余裕がある場合の発信アイディア)

毎回画像バナーをつける

これはCanvaを使って作れば、デザイナーじゃなくても作れる。

画像付きのLINEは、テキストだけよりも5割くらい反応高いというデータもあります。

開封率も高い。

なので、可能なら毎回画像を付けて投稿するのがいいです。

そして、WEBデザイナーとして運用代行するときは、この「画像」を毎回作ってあげることで、エンドクライアントの反応率をあげつつ、お客様の満足度を高めることができます。

・新商品や新設備、新アメニティの情報

これも美容室なら比較的あると思います。ヘアカラーで新色が出るとか、新しいサロンチェアを入れた。ふわふわの高級タオルで店内を一新したとかもいいですね。

そして、ここで言うべきは何も「新商品」でなくてもいいんです。

「実は開業時からあるこのミラーは、こういうこだわりのある特殊なミラーなんですよ」とか言ってもいい。


これは最初のUSPの話にも繋がってきますよね。

「店長は過去にどこで何年間修行をして、毎年1回はスタッフ全員でパリのコレクションに視察に行ってる」とかでもいい。

ポイントは、権威性、新規性、有益性。

お客様が「なるほど」「すごい」と思ってくれるような情報を引き出すのです。

そのためには店長さんやスタッフが、自分の強みを自分で語れなければならない。

どうやってネタを出すのか

ここは「ブレインダンプ」の出番です。

基本的なブレインダンプのやり方は非常に簡単で、たったの3手順でできます。

ぜひブレインダンプのメソッドを理解して、あなたの人生に役立ててください。

それではまず、始める前に、以下の物を用意しましょう。

  1. 真っ白なA4の紙(数枚用意しておくと良い)
  2. ボールペン(できるだけ書きやすいものが良い)

これらが用意できたら、さっそくブレインダンプを始めていきます。

  1. テーマを決める
  2. テーマについて、とにかく思いついたことをひたすらA4用紙に書き出していく
  3. もう何も出てこないというレベルまで書ききったら、内容を見直す

これで、テーマについて脳内にあった情報が、すべて紙の上に出てきます。

ちなみにテーマについては、とくにこれというものがないなら、以下のような内容でやると良いですね。

  • 自分がやりたいこと
  • 自分が将来なりたいもの
  • 自分が欲しいもの
  • 自分がやりたくないもの
  • 自分がやらなくてはいけないこと

これらのテーマにそって、とにかく思いついたことを全部、勢いに任せて書き出していってください。

できれば、50個以上は書き出せると良いですね。

たとえばやりたいことなら、「起業がしたい」、「恋人を作りたい」という大きなものから、「ケーキが食べたい」、「エステに行きたい」という些細なものまで、すべて含めて大丈夫です。

とにかく直感で、難しく考えずにどんどん書き出していきましょう。

そして、書き出したあとはよく見直してみてください。

するとその中から、気づいていなかった本当にやりたいことや、新しいアイディアが浮かび上がってくるはずです。

さらにブレインダンプをやったあとは、脳内のもの一気に吐き出したことから、スッキリとした感覚を味わえる場合もありますよ。

https://michirich.co.jp/brain-dump/

ここでは、「自分の強み」というテーマでブレインダンプをしてもらうのがいいです。

これをすることで、その美容室の強みを引き出すことができる。本人が忘れている過去の記憶の中にも、こういう「強み」につながるものはあるはずです。

LINE運用を代行する際には、必ず店長、スタッフにこのブレインダンプをやってもらってください。本人にとって当たり前でも出してもらうこと。

それを見ながら「これすごい、これを配信しましょう」と言えばいい。

各種お役立ち情報/Tips

美容室なら「枝毛ができないためのヘアケア方法」とか、カラーを長持ちさせるための洗髪方法、今度来るトレンドの髪型、AIで「似合う髪型」をシミュレートできるアプリ。

このような情報を専門雑誌などから取得しては発信すればいい。

トレンドに詳しい雑誌などがおすすめ。ネタをそこで仕入れて、LINEでアウトプットする。これで、専門分野に詳しくなりながら、LINEの発信も継続的に行える。

さらに、LINEの文字だけで伝えられないな、と思ったら、いよいよブログの出番です。LINEからは

このことについてブログを書いたので読んでください
↓
URL

こんな感じで流せばいい。皆ブログを読んでくれます。

これがLINEとブログをかけ合わせた「クロスメディア戦略」です。必要になったらこのあたりも徐々に構築していけばいい。

逆に言えば、必要になるまではLINEやSNSだけでも十分。

2.リッチメニュー

LINEを開くと下記のように、下にメニューが出てくるアカウントがあると思います。これがリッチメニューです。

このリッチメニューはフッタの「メニュー▼」から開閉ができるのですが、リッチメニューを開いたままにするか、閉じた状態で提供するかというのも、迷われると思います。

これはケースバイケースですが、原則的には開いたままにしておいたほうがいいでしょう。

僕のLINEに最近参加してくれた方は、LINEの下にリッチメニューがあることに気付いていないかもしれません。最近こそリッチメニューを開いて運用していますが、当初は閉じていました。

なぜ閉じていたのかですが、僕はこのLINEの目的を「文章を読んでもらい、ノウハウを頭にいれてもらうため」に運用しています。僕のサービスは二の次です。見たい人だけ見てくれればいい。だから邪魔なリッチメニューは隠してあります。

でも、この運用の仕方は特例だと思います。美容室や一般の事業者は、リッチメニューは常に見えるようにしておき、ユーザーがすぐに予約ができるようにしておくほうがメリットが大きいでしょう。

リッチメニューは常に閉じる=「教育」を一番重視。
リッチメニューは常に開く=「認知と興味」を重視。

この違いを覚えておくこと。

3.配信頻度

これは運用によるのですが、美容室のような店舗型のサービスの場合は、月に2回程度でも十分でしょう。

2024年4月現在の公式LINEの無料で収まる通数が月に200通までです。(これは、同じ内容を10人に1回送るだけで、10通消費します)

月に2回ずつ送るとすれば、登録者100人までは無料の範囲内で送れるということですね。登録者100人に到達してから有料化すればいいです。次のプランの金額は月額5,000円+税です。

なにか特別な事情がない限り、例えば第2、第4金曜日の夜などに送る、というようにルーティンとして決めてしまえばいいでしょう。

美容室なら、休日に行きたい人が多いでしょうから、金曜日の夜に送って「あ、この土日暇だし行こうかな」という思考を促すのがいいですね。

時間帯は、ここはターゲットのライフスタイルによって決まりますが、一般的には朝7時台、お昼12時台、夕方18時台、夜21時台がいいとされています。

サラリーマン向けのサービスなら7時台、12時台、18時台。主婦向けならお昼過ぎ、あるいはある程度家事が終わって落ち着ける時間帯の21時台などです。

4.単純接触効果と双方向コミュニケーション

単純接触効果

マーケティングでの重要な要素として「単純接触効果」があります。

TVで、何度も何度も同じCMを流すのもこれを狙っています。

定期的にずっと目に触れているものは、はじめはなんとも思っていなくても、いつの間にか愛着を感じてしまうというものです。ザイオンス効果ともいいます。

街中の至る所にこの効果は使われています。ポスターもそうですし、宣伝用の旗とかもありますよね。

まさにLINEも同じです。僕のLINEを読んでくれている方はわかるでしょうが、毎日決まった時間に決まった分量で流すことで、僕の発信に愛着を感じてくれている方は非常に多くなりました。(ありがとうございます)

気が向いたときに発信するというよりは、隔週月曜日とか、決まったスパンで継続的に流している方が、この「単純接触効果」は得られやすいです。

双方向コミュニケーション

そして「双方向」のやり取りをできるのも、LINEの強みです。例えば、下記のようにLINEに流します。

このLINEを読んでくれたら、よかったらいつも使ってるお気に入りのスタンプを僕に送ってくれませんか。
僕今有料スタンプひとつしか持ってなくて、増やしたいので、ぜひ参考にさせてください。
アニメも漫画も頭おかしいやつも歓迎です!

僕が好きなのこれ
https://bit.ly/44nruUF

こうすると、読んでくれてる方が面白がってLINEを気軽に返してくれます。

昨日はたくさんのおすすめスタンプをありがとうございました。面白かったです!笑

こうやって、ただ一方通行に情報を発信するだけじゃなくて、読者からの返信を促すこと。それはどんなにくだらないことでもいい。ちなみにTwitter(X)で「欲しい人は【なにかの絵文字】を送ってください」とか言ってるのもこの効果を狙っています。


好きなコンビニスイーツを教えてください、とかでもいい。

相手がなるべく脳みそを使わず、サラッと返信できるものが望ましい。そのためには「選択肢を3〜5つ程度挙げて選ばせる」というのもおすすめです。

アンケートを取る

美容室なら、「直感で選んでください。この中のどの髪型が一番可愛いと思いますか?」というアンケートを取ったとする。

するとその美容室の顧客層のトレンドが分かります。性別や年齢もアンケートで取っておけば、セグメントごとの傾向もわかる。

それを今後のLINEのネタにしたり、お客様へのおすすめの髪型にしたりすればいい。

送った側も、自分の意見がお店に反映されたり、コメントが使われたりすると嬉しいですよね。

同じ双方向メディアであるSNSとの違い

SNSも「双方向コミュニケーション」の媒体ですが、SNSとの違いは「オープンかクローズドか」です。

クローズドなLINEの方が、より「自分だけが特別な情報を受け取っている」という意識をもたせることができます。

以前、ファン化のノウハウを出した時に語りましたが、ファンのレベル化、「階層構造」を取ることが極めて重要。

ファンレベル1:SNS:気になる情報を流す

ファンレベル2:LINE:登録しないと見られない希少性の高い情報を渡す

ファンレベル3:購入者限定LINE:レベル2以上の特別扱いをする

上の階層の人には、意識的に「下に潜るとこんなにいいことがあるんだよ」「下の階層の人にはこれを渡しました→今だけ登録できるようにしておきますね」として、下に潜れる動線を作っておく。

LINEを作る際にはぜひ、この「階層構造」を意識するようにしてください。

リストマーケティングの強み

こういう双方向コミュニケーションは、メルマガやLINEの「リストマーケティング」の強みになります。

WEBサイトやLPには、この機能はありませんよね? だから集客導線として価値がある。サイトと組み合わせた状態で、リストマーケティングを仕掛けるのが望ましい。

ステップじゃないリストマーケティングの媒体として、今日メルマガよりLINEが人気なのは、単純に情報に到達するまでのタップが少ないからです。LINEは、スマホに来る通知をタップすればすぐ読めるので、手軽。

あえてメルマガを使う逆張り戦略

ただ、LINEが流行りすぎたので「あえてメルマガを使う」というマーケターも多くなってきました。

「わざわざ登録させ、わざわざ自分のメルマガを読むためだけにメールアプリを起動する」という動作を促すのです。

これは強者の戦略ですが、LINEは多数のアカウントに埋もれがちなので、LINEを気軽に登録しまくるターゲットであれば、メルマガのほうが逆に開封されやすくなります。

結論、メルマガとLINEどっちでも良くて、「読みたい」と思われる内容を出すのが重要。センターピンはそこです。

5.属人性:機能性

人はまず、「自分の人生の役に立つ=機能性」を求めて、LINEを読みます。

でも、機能性を求めてLINEを読んでいる内に、人間的にその人のことを好きになると、「例え役に立たない情報でも、その人の情報なら読む」という状態になっていきます。

これが「属人性」です。好きなアーティストの名前が入っているTシャツが欲しくなったり、別にやりもしない、アーティスト限定のジグソーパズルを何故か買ってしまったり。

美容室も、最初は「機能性」を出してLINEを発信するべきです。
ただ、同時に「属人性」も意識して発信していくといいです。これが「ファン化」に繋がります。

芸能人でもない、ただの一般人が「ファン化」などできないだろうと普通の人は思うのですが、LINE運用で「ファン化」をすることは、実はそう難しいことではありません。

例えば、あなたも学生の時に、「好きな先生」がいたことないですか?

なぜその人が好きだったのか。「教え方がうまかった」「授業がわかりやすい」
これは機能性ですよね。

では属人性は何でしょう?

この話を過去にLINEで流したところ、属人性について、何人かが回答してくれました。

「美人/イケメン」、「仕草や行動がなんかかわいい」、「声/喋り方が好き」などですね。

一般生徒には嫌われている怖い先生

僕が学生のときに、ツリ目で一切笑わず、生徒に対しても皮肉っぽいことばかりを言う冷たい感じのおばさん先生がいて、一見めちゃくちゃ怖いから結構生徒には嫌われていたのですが、僕は妙にその先生のことが好きでした。

当時、自分はなぜこの人のことが好きなんだろうと考えてたのですが、日本史の先生だったんですけど、日本史の人物の人生を説明するときにめちゃくちゃ目が輝くんですよね。「本当に好きなんだな」というのが伝わってきて、そこに共感したのかもしれません。シニカルな物言いも、人に媚びない感じも良かった。

「笑わない」「シニカル」「生徒に冷たい」

すべてネガティブ要素ですが、僕にとってはこれらがマイナスではなくプラスに機能したのです。

これが「属人性」です。

万人に好かれる必要はない。誰に対してもいい顔をしていると、何の個性も伝わらず、空気のような存在になります。


どこか尖ることが大切。

キャラクターを意識する

美容室のLINE運用で属人性を出すには、「キャラクター」をちょっと演じる必要があります。

企業アカウントは、無味無臭であることがほとんどです。「新商品が出ました」「夏のキャンペーンをやります」すべて「誰が発信しても同じ言い回し」だと思います。

個人がやってる美容室なら、美容師さんとの会話や相性がとても重要で、人間的な関わり合いが嫌でも深くなるわけですから、もっともっと美容師さん本人の「属人性」を出していっていいと思います。

「機能」だけでなく「人柄」も感じられるLINE運用にしていく。

そうすると、ある日からお客様から「この間LINEで仰ってたあの映画、私も気になって観に行ったんですよ!」と言われたりするでしょう。

そこから「お客様:美容師」ではなく、「人間:人間」の関係性が少しずつ養われていく。そこからリピーター化させられたり、美容師、お客様それぞれのQOLが上がったりしていく。

話しかけない美容室

更に展開すると、次は「機能に特化した美容室」という逆張り戦略が見えてきます。

美容師との会話が億劫というニーズですね。

一般層には、「美容師との会話をしたくない」というニーズが一定数あります。

なので、「うちは属人性を一切出さない」という逆張りでブランディングすることも可能ってことです。

「本当に必要なことしか話しかけません」「ごゆっくり本や映画など、あなただけのプライベート時間をお楽しみください」という訴求ですね。

この場合の仮想敵は「属人性ガン積みで、めちゃくちゃ人間的な関係性を重視している美容室」ということになる。

この「仮想敵」を批判していくことで、「美容室で話しかけられるのがウザい」とか「美容室が苦手」という属性のお客様に共感され、そういう客層にポジションを取ることができてきます。

「一人の時間、プライベートな時間を大切にする美容室」というブランディングになる。

これはこれで、一定のニーズがあると思いませんか? 高級なアロマや、くつろげるサロンチェア、優雅なBGM、iPadが一人一台設置されてる。ドリンクも充実、ワンドリンクはサービスとかね。

この場合の公式LINEは、どんな発信になるか考えてみてください。

以前LINEでこの話題についてもふれたら、下記のようなコメントを貰いました。

それぞれの機能の写真や動画、快適な過ごし方の例を発信する以外にも、季節に合わせて髪や体に関するおすすめのセルフケア方法を発信する。

という当たり障りのない内容しか思いつかないです

それらはもちろん発信していい。あと「なぜ属人性を排除しているのか」という理由を語るんです。


そして、「その美容室のあり方」=コンセプトと、「どんな人に来てほしいか」というターゲットを明確にする。
「こんな人は来ないでね」というのも発信する。

お客様から選ばれることばかりを気にしますし、「どんな人でも来てください」と言いがちですが、それでは誰も来てもらえない。

美容室側からも、あえてお客様を選んでください。そこに「その美容室を選ぶ理由」が生まれます。

「話しかけない美容室」

このコンセプトでブランディングするのは勇気がいることですが、僕は需要があると思いますね。

こういうニーズだって、「美容室で話しかけられるのが苦手」という世間の声に耳を傾けなければ気づかない。

常にアンテナを高く張っておくのが大切です。

6.プライベート情報の出し方

最初は機能性7:属人性3くらいがいいです。

プライベート情報も、何でもかんでも出せばいいのではなく、「お客様が関心を持ちそうな情報」にするべきです。

例えば、美容室のアカウントなのに、超マニアックな趣味の話を延々とされたら、「そんな話誰も求めてないよ」ってことでドン引きされちゃいますよね。

なので、例えば映画の話や、読んだ本の話、ドラマの話、食事の話、美容に関わる話、家族の話、お客様からもらった情報など、あくまでも「美容室で話してお客様に興味を持って聞いてもらえた話」をLINEでもするべきです。

逆にするべきでないのは、深い悩みやネガティブな情報、愚痴、政治関係、トラブルや他人の個人情報などですね。

聞いていて心地いいもの、楽しいもの、笑えるもの、嬉しい気持ちになれることなどを書くようにしましょう。自分が感動した話や、読んだ人が思わず周りに話したくなるような話がいいです。

さて、ここまででLINE運用コンサルについてすべて解説しました。何か質問があれば、お気軽にどうぞ。

公式LINE運用の営業の仕方

「続ける」ことの難しさと意義

店舗や集客のためのLINE運用は、「定期的な配信」が最も大切です。
前述した「単純接触効果」を取るためです。

なので、毎月第2・第4月曜日など、いつ配信するかのスケジュールを決めて、それをリマインドをかけて必ず送るようにしましょう。予約配信もできるので、時間のあるときにまとめて書いて予約をしておけばいいです。

送る内容が分からない人も多いでしょうから、「どんなことを発信するか」も全部テンプレ化してあげればいい。そのテンプレートも一緒に納品してあげれば、書く内容にも悩まないし、LINE構築とセットで販売できますよね。

それでも書けない人には、「LINE運用代行」もサブスクで提案してあげればいい。

発信予定日の数日前に、こちらから「次の話題は何にしますか?」とヒアリングして、内容も「こんな内容はいかがですか?」と提案して上げる。

代行契約は
・月に2回、話し合った内容で原稿を書く
・発信も代行
・月1万円のサブスク
・最低契約期間は3ヶ月
・3ヶ月以降は、当月末でいつでも解約可

LINE運用をクライアントに営業する

営業方法も教えておきましょう。

ホームページが不要と言ってる人にも、LINE運用なら興味を示します。

特に一度興味を持ってくれた人に対し、継続的に「プッシュ営業」ができるのが強い。

プッシュ営業は「キャンペーン訴求」です。

マクドナルドやスタバの期間限定メニュー、ハッピーセットのおまけなどのノベルティ訴求。

過去には100円マックなどもありましたよね。

スタバのストロベリーフラペチーノも、旬の季節しか売らないから、その時に食べに行くしかない。

マクドナルドやスタバは、非常に巧みなマーケティング戦術を駆使して、人々の日常にうまく自分のプロダクトを訴求しているのがわかるでしょう。

で、そのキャンペーンは「プロモーション」をしなければ相手には伝わらない。

スタバやマックみたいに大きな企業であれば、テレビCMやネットの広告などを存分に使うことができるが、我々のお客様である中小事業者にそこまでの資本力はない。

そこで、来客してくれた方を積極的にLINEに登録させる。

飲食店なら、各テーブルの待ち時間にスマホで登録できるように、POPを置いておく。

POPとは「Point of purchase advertising」を略したもので、「ポップ」あるいは「ピーオーピー」と呼ばれています。 材料は紙や布、プラスチックや木のボードなどで、役割としては商品名や価格、商品のセールスポイントや説明文などを伝えるものです。

ファミレスとか行くと、紙でできたPOPが良く立ってますよね。

公式でもこのようにPOPの購入ができるようになっています。
https://ferret-plus.com/curriculums/9856

ただ、店内の雰囲気にそぐわないでしょうから、オリジナルのPOPをデザインしてあげたり、LINEに登録するメリットをたくさん書いたLPを登録前に読ませるような動線を作ってあげてもいいでしょう。

つまり、POPのQRをいきなりLINE登録につなげるのではなく、QRを読んだら、そのお店オリジナルのLINE登録LPを読ませるんです。で、そのLPとPOPをセットで受注する。

LINE運用のパッケージ化の例

下記の作業をまとめてパッケージ化して訴求すればいい。

【イニシャルコスト(初期費用)】

・LINEアカウント構築費用(自動応答や初期メッセージ設定)
・店内に置くPOPやポスターデザイン
・LINE登録オリジナルLP(オプトインページ/スクイーズページ)構築
・発信のテンプレート100パターン

5万円~10万円程度

【ランニングコスト(月額費用)】

・発信代行(情報のネタ出し/原稿作成)月2回
・決められた日程での予約投稿登録
・LINE登録数等の月次レポートと、登録数増加の施策提案
・LINEによる問い合わせの初期対応
・その他運用サポート

月額1万~3万円程度

イニシャルだけ取って、構築だけしてあげて、運用は店舗に任せるパターンと、運用まで全て月額で引き受けるパターンを両方作り、相手の予算や作業リソースに応じて選んでもらうのがいいです。

運用代行はいつでも当月末で解約できることにして、試してもらうのがいい。

実績0のうちは「特別モニター」として無料で対応してもいい。知り合いのお店に提案するのもあり。

色々な販売パターン

価格は、実績ができていけば、当然もっと上げていける。

もちろん最初はこの半額でやってもいい。実績がないうちは「標準価格」を定めたうえで、適宜ディスカウントしてあげればいいでしょう。

ただし、「最低利用期間」は設けるようにしたほうがいい。

なぜなら、リストマーケティングとは、1ヶ月やそこらで成果が即時に出るものでもないからです。

だから最低3ヶ月は様子を見てもらう。

そして、それ以降は当月解約申請をすれば当月末で解約できるようにする。


代行するなら、月額をもらい、定期配信をする。

投稿は「テキスト+バナー」で、告知の投稿用バナーもCanvaなどで作ってあげる。

別にテキストだけの配信でもいいが、画像バナーを付けたほうが確実に反応率は上がる。

前述したが、画像のデザイン+投稿の内容をセットにすれば、顧客の満足度も高くなる。

これで保守以外にも定額収入を作っていける。

保守とセットの営業

保守とセットにしてもいい。

LINE運用+WEBサイトの保守というパッケージもかなり強い。

WEBサイトの保守は、何かあったときの保険のようなものなので、「何もしないで金を取る」ということで、お客様に必要性を感じてもらいにくい。

LINE運用を保守とセットにすれば、「お得感」と「やってる感」を出せるので、定額の支払いにも価値を感じてもらいやすい。

そこで、「どうせなら毎月保守料金を払うなら、ダメ元でやってもらおう」というクライアントに対して、LINE運用で成果を上げて集客ができるようになったら、簡単にお客様の期待値を超えることができる。

「もっとLINEに力を入れて欲しい」と言われたら、更に別の訴求やアイディアも提案していけばいい。

ここまででもこれ一本で食べていける事業にできる

今まで解説してきたことは、「LINE運用構築/運用代行サービス」の事業設計の仕方です。

ぶっちゃけ、このサービス一本で食べていけるポテンシャルは余裕である。

実際に、公式LINE運用代行のサービスを運用している人が持っているノウハウと同等以上のものは、今回のこのテキストに全てまとめたつもりです。

つまり、これだけ運用して月30万、50万、100万とかも可能ってことです。

Lステップ・エルメ・プロラインなどのサードパーティツールはどうか

世の中には「Lステップ」や「エルメ」など、公式LINE運用の機能をより強力にするサードパーティのサービスがたくさんありますが、僕は正直それらがなくても、中小規模の事業者のLINE運用は事足りると思っている。


もちろん導入したほうがいい事業者のケースもあると思いますが、「なるべく小コスト/少ない手間で運用を丸投げしたい」という要望であれば、サードパーティーを使わずとも公式LINEだけで十分運用は可能。

僕自身も、自分のサービスを展開するにあたりLステップやエルメなどを試しに使ってみたりしましたが、僕レベルの運用にはそれらは不要だと思いました。

はがきDMの代わりとしてLINE運用を訴求する

公式LINEは「全体発信をするその月だけ有料化、普段の個別問い合わせのみに回答する月は無料」という選択が柔軟にできます。当月中にプラン変更をすれば、アップグレードは即時、ダウングレードは翌月頭から切り替わる。

僕のクライアントには、年に2回の大規模セールをやる時にだけ全体発信、それ以外は個別問い合わせにのみ回答すればいいので、無料の200通以内で十分回る、という運用をしている店舗もあります。

LINEを導入するまでは、セールの案内はハガキを送っていました。

でもLINEを導入してからはそのコストがめちゃくちゃ軽くなったと喜んでいます。ハガキのコスト、表裏のデザイン/印刷、発送の事務作業がまるまるなくなったわけです。

そのクライアントは、1年のうち2ヶ月だけは5,500円のプランにして、それ以外は0円で回せる。はがきを送っていたリストは1000人程度いたので、その金額だけでもバカになりません。そして、「もう来るつもりのない人」にまで無駄に送っていた。


LINE化でその憂いもなくなりました。

具体事例を多く書き、「コスト削減」を謳う

つまり、毎年年2回送っていたセール案内の費用、はがき代が1000人×63円=63,000円×2=126,000円が、LINEを導入しただけで浮いたのです。

発送事務にかかる人件費、印刷代、デザイン代などを考えるともっと浮いている。

コストが下がるということは「利益が上がる」ということです。それが毎回となれば、「浮いたコスト分の継続利益を作った」ということになる。

今後永続的に、年126,000円の利益を作ったのと同じです。

この話をすれば、「毎回ハガキ案内を送ってる人」に刺さる。

それから、「休眠客のあぶり出し」も訴求できる。

休眠客のあぶり出し

ハガキ運用の場合、一方的な案内になるので、「もう来るつもりのない人」を見極めることができません。
相手にとっては「不要なのにいつまでも送ってこられて迷惑」だし、送るお店側も「捨てられるだけのものにコストを掛け続ける」ということになる。

これ、誰も得をしないですよね。LINEなら、不要ならブロックも気軽にできる。

つまり、もう永遠にお客様になり得ない人に通知を送り続けるという無駄をなくすことができる。

僕のクライアントの例でも、ハガキを送っていた1000人の既存リストにLINEに切り替える案内を出したが、そのうちの30%が登録をしてきませんでした。

ここでクライアントは「30%もお客様を失った」と考えましたが、違います。

今まで1000人に案内を送り続けることで、その1000人が全員お客様だとクライアントは思っていたが、そう思っていたのはクライアントだけで、ハガキを受け取るエンドユーザの3割は、毎年送られるハガキを不要と考えていた。つまり、クライアントのお客様ではなかった、ということです。

不要なお客様には送らない

あなたも、ほしくないもの、興味を失った商品の案内が毎年来続けたら嫌でしょ?

でも、「これ以上はがきを送るな」と、わざわざ連絡するのもめんどくさい。だから送らせるだけ送らせて、届いたらゴミ箱にポイです。自分が不要な案内を受け取る立場になればわかる。

なので、LINEに以降しなかった30%は、無駄を削減できた、と考えるべきなのです。

この考え方は「スクリーニング」と言い、安定した事業を行うには極めて大切な考え方です。
そして、LINEをはじめとしたリストマーケティング全体の原則でもある。

たくさんのお客様に興味を持ってもらい、購入してもらう。申し込んでもらうことはもちろん大切ですが、そこだけを見ていると、「強引な営業で冷静な判断力を失わせ、無理やり売りつける」というような売り方となっていきます。

メリットだけを伝え、デメリットを隠す。
誇大広告をして優良誤認を恣意的に引き起こす。
突き詰めると詐欺。

リストマーケティングの時代による変遷

昭和から平成の中期くらいまでは、この売り方で良かったのです。
なぜなら、「お客様など無限にいる」という時代だったから。猛烈サラリーマンが競って営業をして、莫大な広告費を掛けて大きな売上を作っていきました。
オンライン事業でも、ヒルズ族が高級車や億ションを競うように購入し、札束風呂で下品に煽ってたくさんの初心者を騙し、自分と身内だけが儲かる構造を作っていきました。

炎上をしても、騙される初心者は無限に湧き出てくるので、彼らは鉄のマインドでした。

でも、平成後期から令和となった今、日本市場において人口は減少の一途をたどり、「お客様は無限」ではなくなりました。また、情報化がより進み、国民のITリテラシーが上がり、SNSやYouTubeが台頭しました。

ライフ・タイム・バリュー

ここで重視され始めたのが「LTV」という考え方です。

ライフタイムバリュー、日本語で言うと「顧客生涯価値」ですね。

一人のユーザーが生涯をかけて、そのプロダクトに使ってくれる金額のことです。

誇大広告や強引な営業で詐欺に近いビジネスを行い、単発で100万騙し取る稼ぎ方は、「LTV」は100万です。騙されたことがわかれば、その人は絶対にそれ以上のお金を落とすことはない。

これに対し、まともなビジネスをして、継続的に毎月5万円を稼ぐ稼ぎ方は、「LTV」は20ヶ月で100万円を超えます。それ以降はずっと増え続けますよね。

一人のお客様を常に満足させ続け、継続的/長期的に愛用して頂く。
大金を単発で買わせるより、少額でも持続的に買って頂き、顧客のLTVを上げていくことが、今日最も重視されることになったわけです。

つまり、このLTVを上げるために、「スクリーニング」という機能や概念が大切なのがわかるでしょう。

真のファンを作れ

お客様と真摯に向き合い、本当に自分のプロダクトを愛してくれる真のファンをたくさん作っていく。

昔のような「顧客を騙して売り逃げ」が通用しないからこそ、盤石な信頼関係を構築し、持続可能なストック収益を構築していくことが、今後の人口減少社会では至上命題となる。

これは個人も企業も関係がない。日本市場でビジネスをしている人間誰しもが、心の奥にしっかり刻み込まないといけない軸だと考えています。

LINEは「リストマーケティング」ですが、「リスト」とは「顧客台帳」のこと。

江戸時代の商人は、家が家事になっても、この顧客台帳だけは持って逃げたと言われています。なぜそこまで大切なのかというと、「コツコツ積み上げてきた信頼」がそこにあるからで、それは一朝一夕に築き上げられるものではないからです。

LINEの登録数を「数」として捉えると、登録数10「しか」ないとなる。LINEのリストが10しかないから発信できないとかね。

登録数10は、ただの数ではない

僕はこの10を、「人間」として捉えている。

すると不思議なことに、登録してくれた人が10人「も」いると思える。

10人ってすごいですよね。見ず知らずの人にLINEに登録してもらえるくらい関心を持ってもらえることを考えれば、ひとりだってすごいのに。それが10人もいるんですよ。

だから、その人達と真摯に向き合い、双方向コミュニケーションや限定情報で信頼関係を作り、LTVを上げていく。

そうすれば、その10人は20人になり、40人になり、80人になる。

LINEの登録数80と聞くと、少ないと思うでしょう。とんでもない、立派な数字ですよ。

驕らず謙虚に、登録してくれたひとりひとりに感謝し、価値を提供し続ける。
この意識と、お客様ひとりひとりを大切にすることが、LINE運用を成功に導くセンターピンです。

Q&A

属人性を一切出さないというブランディング、私も需要があると思います!夫がそんな感じで、話しかけて欲しくないので、寝ているそうです。

そういったブランディングをされている美容室でもLINEでは属人性を7:3の3の割合で出していくという理解で合っていますか?
それとも、ブランディングなので、LINEでもそこは貫いていくのでしょうか?

属人性を出さない美容室であれば、LINEでもそこは貫きます。

ただ、お客様のメリットになることは積極的に発信しましょう。
「機能性」は出す。「属人性」は出さない。

ただし、「属人性」を出さない理由は常に語り続ける。なぜ、そのコンセプトなのかを。
その時に、美容師の想いを語るのはありです。それが唯一発信する属人性になるでしょう。
もちろん、この理念はオフィシャルサイトやキャッチコピーにも大々的に掲げておきます。

それを読んだお客様は、その理由に納得して、安心して来店していただけるでしょう。
「この美容室なら、無駄に話しかけられないで済むんだ」と思ってもらえます。

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