LINEの読者様から、「お客様にYouTubeサムネを依頼されたが、アンパンマンのイラストをYouTubeサムネに入れていいか」という質問をいただきました。
今回から少し、著作権とか商標権の話をします。
これ、結論から言うと完全にNGでして、知的財産権侵害という罪に問われます。
特にデザイナーがクライアントからの案件に、他人の著作権や商標権を侵害したデザインをしてしまうとなると、かなりまずい。
ただ、著作権侵害は「親告罪」といって、著作権者が申し立てをしない限りは罰せられないことになっています。
いいか悪いかって言ったら悪いのですが、キャラクターの権利者がそれを申し立てて初めて「罪」となるものです。だから、巷にあふれている同様のサムネなどは、すべて「本来は違法だけど、見逃されている」と考えるといいでしょう。
ここが問題になるかならないかは、「営利目的か、そうでないか」で決まってきます。
簡単に言うと、もし自分が魂込めて作ったキャラクターが、他人の金稼ぎに利用されてたら嫌でしょ?って話ですね。
著作権は作った瞬間から発生する
著作権は、その創作物を作った瞬間に自動的に発生する権利です。
当然あなたのデザインの納品物にも著作権があります。あなたの作品も無断で転載、転用、販売などされないよう、法律で守られます。
ではアンパンマンはというと、作者のやなせたかしさんはすでに亡くなられていますが、その権利は死後70年間は有効であり、また、ああいう有名なキャラクターになると「商標権」というものが登録されています。
「商標権」は著作権よりも強い知的財産権で、著作権が「親告罪」であるのに対して、商標権の侵害は、発覚すれば権利者の申し立てがなくても罪に問われます。窃盗や殺人と同じです。
同人誌や二次創作はどうなのか
また、マンガやアニメが好きな方はご存知かと思いますが、コミケなどで頒布される同人誌は、厳密に言えば著作権侵害です。権利者から裁判を起こされれば100%負けます。
ただし、「ファン活動である」「営利目的ではない」、そして同人活動でその作品がより広く認知、宣伝されることで見逃されています。
ものすごく危うい土壌の上に成り立っている文化なのです
著作権についてはわかりましたでしょうか。
Twitterのアイコンをアニメのキャラにしてる人、「拾い画」とか言って、他人が描いたイラストを勝手に自分のSNSなどで投稿している人、他人のおもしろ動画を勝手に集めて投稿し、アフィリエイト収入を得ようとしてる人、芸能人の顔を勝手に使ってる人(これは”肖像権の侵害”です)など、法的には全員アウトです。
もし悪気なくやっている方がいたら、今日からぜひやめてください。(僕のお客様にはいないと思いますが)
先日とある方がデザイナーに依頼したプロモーション動画に、実際のアニメの画像が使われているのを見てしまいました。許可を取ってるとは思えないので、当然無断使用でしょう。しかも転用だけでなく無断で加工もされていました。
頼むクライアント、頼まれるデザイナー双方の無知識、無理解によりこういうことが起こります。
趣味で、クローズドな環境で個人的に使う分には許容されますが、公共の場に他人の著作物を無断で使用してはいけません。
ましてや「納品物」に使うのは言語道断。
「スヌーピーっぽい」はアウト?
「スヌーピーっぽいイラスト描きます」というキャッチコピーで、ゆるいかわいい感じのイラスト、スヌーピーを好きな方が好みそうな出品がありました。
お客様目線からすると例えがある方がイメージが湧きやすいので上手い出し方だなと感じましたが、要素を真似た「〇〇っぽい」というアピールの仕方はokなのでしょうか?
結論から言うと、これはありです!
こういうものを「オマージュ」といいます。
「パクリ」と「オマージュ」の違いって非常に曖昧で、切り分けが難しいところではあるのですが、その境界は「制作者に対する敬意の有無」ではないかと思っています。
「オマージュ」っていうのは、敬意を持って似たテイストを取り入れて制作されます。
たいていが「○○へのオマージュです」と、もとにした作品や制作者が公表されています。
それに対してパクリは「オリジナル作品の存在を隠す」という傾向があります。
作者の創作性を自分のものとして不当に評価を得ようとする、悪質なやり方です。
このケースは前者なので、OKですね。